オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリ
ゴマノハグサ科
撮影 2000.3.2 高津区溝口6-19-1付近の土手にて
解説
早いところでは、1月の下旬頃から花が咲き出します。この花が咲き出すと春も間近いので、早く咲いてほしいと花が咲くのを待ちに待っているのは、私だけでしょうか。この花もあまり背が高くなりません。ですから早く咲いて早く種を作ってしまおうとします。朝、開いた花は、夕方にはもう閉じてしまいます(このような花を一日花というそうです)。そこでこの花は、少しでもたくさんの種をつくり、確実に子孫を残すためにいくつか工夫していることがあるのです。その一つは、他の花がまだ大きくならないうちに種をつくってしまおうとしてまだ寒いうちから咲き始めます。次は、せっかく咲いたのですから、虫が来てくれなくても、花粉を雌しべに付けたいわけです。ですから花が閉じるとき、確実に花粉が雌しべにつくように、花びらと一緒に2本の雄しべが、雌しべを抱きかかえるようにして花粉を雌しべに付けます。右下の写真を見てください。花びらが閉じれば、雌しべの両側の雄しべが、雌しべを抱きかかえることになりますね。自分の花の花粉を自分の花の雌しべに付けるわけです(自家受粉:ジカジュフンというそうです)。子孫を残すためにこんな努力をしているのですね。驚きです。
咲き始めてから1ヶ月と少し、もう満開で、足の踏み場もないほど一面に咲いていました。
元来この花は、明治初期、ヨーロッパから日本に入ってきました。今や畑や道路のはじっこなど、どこにでも生えています。
よくみると花びらは、根元の方でくっつきあっています(合弁花植物といいます)。花びらの大きさも違います。薄い青色に濃い青の筋が入っているのがおわかりでしょう。葉は、根元の方は茎から柄が出ていて2枚向かい合ってつきますが、上の方の葉は、柄もなく互い違いにつきます。
この花は、種の形に特徴があって、その形からこの名前がついたといわれます(左下の写真参照)。オオは、大きいの意味です。イヌは犬です。フグリは広辞苑を引いてみると、ふくらみがあって垂れているものをフクロ・フクリといったのであろうとカッコ書きで書いてあり、次に 睾丸、いんのう とでています。つまりイヌのフグリとは、犬の睾丸ということになります。たしかに形はよく似ていますが、この花はこのような名前を付けられて、どう思っているのでしょうね。
撮影 2000.3.2 高津区溝口6-19-1付近の土手にて