資料
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小倉百人一首 (漢字旧字体版)
1,あきのたのかりほのいほのとまをあらみ,わがころもではつゆにぬれつつ,天智天皇,てんじてんのう 2,はるすぎてなつきにけらししろたへの,ころもほすてふあまのかぐやま,持統天皇,じとうてんのう 3,あしびきのやまどりのをのしだりをの,ながながしよをひとりかもねむ,柿本人麻呂,かきのもとのひとまろ 4,たごのうらにうちいでてみればしろたへの,ふじのたかねにゆきはふりつつ,山邊赤人,やまべのあかひと 5,おくやまにもみぢふみわけなくしかの,こゑきくときぞあきはかなしき,猿丸大夫,さるまるだゆう 6,かささぎのわたせるはしにおくしもの,しろきをみればよぞふけにける,中納言家持,ちゅうなごんやかもち 7,あまのはらふりさけみればかすがなる,みかさのやまにいでしつきかも,安倍仲麿,あべのなかまろ 8,わがいほはみやこのたつみしかぞすむ,よをうぢやまとひとはいふなり,喜撰法師,きせんほうし 9,はなのいろはうつりにけりないたづらに,わがみよにふるながめせしまに,小野小町,をののこまち 10,これやこのゆくもかへるもわかれては,しるもしらぬもあふさかのせき,蝉丸,せみまる 11,わたのはらやそしまかけてこぎいでぬと,ひとにはつげよあまのつりぶね,參議篁,さんぎたかむら 12,あまつかぜくものかよひぢふきとぢよ,をとめのすがたしばしとどめむ,僧正遍昭,そうじょうへんじょう 13,つくばねのみねよりおつるみなのがは,こひぞつもりてふちとなりぬる,陽成院,ようぜいいん 14,みちのくのしのぶもぢずりたれゆえに,みだれそめにしわれならなくに,河原左大臣,かわらのさだいじん 15,きみがためはるののにいでてわかなつむ,わがころもでにゆきはふりつつ,光孝天皇,こうこうてんのう 16,たちわかれいなばのやまのみねにおふる,まつとしきかばいまかへりこむ,中納言行平,ちゅうなごんゆきひら 17,ちはやぶるかみよもきかずたつたがは,からくれなゐにみづくくるとは,在原業平朝臣,ありわらのなりひらあそん 18,すみのえのきしによるなみよるさへや,ゆめのかよひぢひとめよくらむ,藤原敏行朝臣,ふじわらのとしゆきあそん 19,なにはがたみじかきあしのふしのまも,あはでこのよをすぐしてよとや,伊勢,いせ 20,わびぬればいまはたおなじなにはなる,みをつくしてもあはむとぞおもふ,元良親王,もとよししんのう 21,いまこむといひしばかりにながつきの,ありあけのつきをまちいでつるかな,素性法師,そせいほうし 22,ふくからにあきのくさきのしをるれば,むべやまかぜをあらしといふらむ,文屋康秀,ふんやのやすひで 23,つきみればちぢにものこそかなしけれ,わがみひとつのあきにはあらねど,大江千里,おおえのちさと 24,このたびはぬさもとりあへずたむけやま,もみぢのにしきかみのまにまに,菅家,かんけ 25,なにしおはばあふさかやまのさねかづら,ひとにしられでくるよしもがな,三條右大臣,さんじょうのうだいじん 26,をぐらやまみねのもみぢばこころあらば,いまひとたびのみゆきまたなむ,貞信公,ていしんこう 27,みかのはらわきてながるるいづみがは,いつみきとてかこひしかるらむ,中納言兼輔,ちゅうなごんかねすけ 28,やまざとはふゆぞさびしさまさりける,ひとめもくさもかれぬとおもへば,源宗干朝臣,みなもとのむねゆきあそん 29,こころあてにをらばやをらむはつしもの,おきまどはせるしらぎくのはな,凡河内躬恒,おおしこうちのみつね 30,ありあけのつれなくみえしわかれより,あかつきばかりうきものはなし,壬生忠岑,みぶのただみね 31,あさぼらけありあけのつきとみるまでに,よしののさとにふれるしらゆき,坂上是則,さかのうえのこれのり 32,やまがはにかぜのかけたるしがらみは,ながれもあへぬもみぢなりけり,春道列樹,はるみちのつらき 33,ひさかたのひかりのどけきはるのひに,しづごころなくはなのちるらむ,紀友則,きのとものり 34,たれをかもしるひとにせむたかさごの,まつもむかしのともならなくに,藤原興風,ふじわらのおきかぜ 35,ひとはいさこころもしらずふるさとは,はなぞむかしのかににほひける,紀貫之,きのつらゆき 36,なつのよはまだよひながらあけぬるを,くものいづこにつきやどるらむ,清原深養父,きよはらのふかやぶ 37,しらつゆにかぜのふきしくあきののは,つらぬきとめぬたまぞちりける,文屋朝康,ふんやのあさやす 38,わすらるるみをばおもはずちかひてし,ひとのいのちのをしくもあるかな,右近,うこん 39,あさぢふのをののしのはらしのぶれど,あまりてなどかひとのこひしき,參議等,さんぎひとし 40,しのぶれどいろにいでにけりわがこひは,ものやおもふとひとのとふまで,平兼盛,たいらのかねもり 41,こひすてふわがなはまだきたちにけり,ひとしれずこそおもひそめしか,壬生忠見,みぶのただみ 42,ちぎりきなかたみにそでをしぼりつつ,すゑのまつやまなみこさじとは,清原元輔,きよはらのもとすけ 43,あひみてののちのこころにくらぶれば,むかしはものをおもはざりけり,權中納言敦忠,ごんちゅうなごんあつただ 44,あふことのたえてしなくばなかなかに,ひとをもみをもうらみざらまし,中納言朝忠,ちゅうなごんあさただ 45,あはれともいふべきひとはおもほえで,みのいたづらになりぬべきかな,謙徳公,けんとくこう 46,ゆらのとをわたるふなびとかぢをたえ,ゆくへもしらぬこひのみちかな,曾禰好忠,そねのよしただ 47,やへむぐらしげれるやどのさびしきに,ひとこそみえねあきはきにけり,惠慶法師,えぎょうほうし 48,かぜをいたみいはうつなみのおのれのみ,くだけてものをおもふころかな,源重之,みなもとのしげゆき 49,みかきもりゑじのたくひのよるはもえ,ひるはきえつつものをこそおもへ,大中臣能宣朝臣,おおなかとみのよしのぶあそん 50,きみがためをしからざりしいのちさへ,ながくもがなとおもひけるかな,藤原義孝,ふじわらのよしたか 51,かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ,さしもしらじなもゆるおもひを,藤原實方朝臣,ふじわらのさねかたあそん 52,あけぬればくるるものとはしりながら,なほうらめしきあさぼらけかな,藤原道信朝臣,ふじはらのみちのぶあそん 53,なげきつつひとりぬるよのあくるまは,いかにひさしきものとかはしる,右大將道綱母,うだいしょうみちつなのはは 54,わすれじのゆくすゑまではかたければ,けふをかぎりのいのちともがな,儀同三司母,ぎどうさんしのはは 55,たきのおとはたへてひさしくなりぬれど,なこそながれてなほきこえけれ,大納言公任,だいなごんきんとう 56,あらざらむこのよのほかのおもひでに,いまひとたびのあふこともがな,和泉式部,いずみしきぶ 57,めぐりあひてみしやそれともわかぬまに,くもがくれにしよはのつきかな,紫式部,むらさきしきぶ 58,ありまやまゐなのささはらかぜふけば,いでそよひとをわすれやはする,大貳三位,だいにのさんみ 59,やすらはでねなましものをさよふけて,かたぶくまでのつきをみしかな,赤染衛門,あかぞめえもん 60,おほえやまいくののみちのとほければ,まだふみもみずあまのはしだて,小式部内侍,こしきぶのないし 61,いにしへのならのみやこのやへざくら,けふここのへににほひぬるかな,伊勢大輔,いせのたゆう 62,よをこめてとりのそらねははかるとも,よにあふさかのせきはゆるさじ,清少納言,せいしょうなごん 63,いまはただおもひたえなむとばかりを,ひとづてならでいふよしもがな,左京大夫道雅,さきょうのだいぶみちまさ 64,あさぼらけうぢのかはぎりたえだえに,あらはれわたるせぜのあじろぎ,權中納言定頼,ごんちゅうなごんさだより 65,うらみわびほさぬそでだにあるものを,こひにくちなむなこそをしけれ,相模,さがみ 66,もろともにあはれとおもへやまざくら,はなよりほかにしるひともなし,前大僧正行尊,さきのだいそうじょうぎょうそん 67,はるのよのゆめばかりなるたまくらに,かひなくたたむなこそをしけれ,周防内侍,すおうのないし 68,こころにもあらでうきよにながらへば,こひしかるべきよはのつきかな,三條院,さんじょういん 69,あらしふくみむろのやまのもみぢばは,たつたのかはのにしきなりけり,能因法師,のういんほうし 70,さびしさにやどをたちいでてながむれば,いづこもおなじあきのゆふぐれ,良暹法師,りょうぜんほうし 71,ゆふさればかどたのいなばおとづれて,あしのまろやにあきかぜぞふく,大納言經信,だいなごんつねのぶ 72,おとにきくたかしのはまのあだなみは,かけじやそでのぬれもこそすれ,祐子内親王家紀伊,ゆうしないしんのうけのきい 73,たかさごのをのへのさくらさきにけり,とやまのかすみたたずもあらなむ,前中納言匡房,さきのちゅうなごんまさふさ 74,うかりけるひとをはつせのやまおろしよ,はげしかれとはいのらぬものを,源俊頼朝臣,みなもとのとしよりあそん 75,ちぎりおきしさせもがつゆをいのちにて,あはれことしのあきもいぬめり,藤原基俊,ふじわらのもととし 76,わたのはらこぎいでてみればひさかたの,くもゐにまがふおきつしらなみ,法性寺入道前關白太政大臣,ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん 77,せをはやみいはにせかるるたきがはの,われてもすゑにあはむとぞおもふ,崇徳院,すとくいん 78,あはぢしまかよふちどりのなくこゑに,いくよねざめぬすまのせきもり,源兼昌,みなもとのかねまさ 79,あきかぜにたなびくくものたえまより,もれいづるつきのかげのさやけさ,左京大夫顯輔,さきょうのだいぶあきすけ 80,ながからむこころもしらずくろかみの,みだれてけさはものをこそおもへ,待賢門院堀河,たいけんもんいんのほりかわ 81,ほととぎすなきつるかたをながむれば,ただありあけのつきぞのこれる,後徳大寺左大臣,ごとくだいじのさだいじん 82,おもひわびさてもいのちはあるものを,うきにたへぬはなみだなりけり,道因法師,どういんほうし 83,よのなかよみちこそなけれおもひいる,やまのおくにもしかぞなくなる,皇太后宮大夫俊成,こうたいごうぐうのだいぶとしなり 84,ながらへばまたこのごろやしのばれむ,うしとみしよぞいまはこひしき,藤原清輔朝臣,ふじわらのきよすけあそん 85,よもすがらものおもふころはあけやらで,ねやのひまさへつれなかりけり,俊惠法師,しゅんえほうし 86,なげけとてつきやはものをおもはする,かこちがほなるわがなみだかな,西行法師,さいぎょうほうし 87,むらさめのつゆもまだひぬまきのはに,きりたちのぼるあきのゆふぐれ,寂蓮法師,じゃくれんほうし 88,なにはえのあしのかりねのひとよゆえ,みをつくしてやこひわたるべき,皇嘉門院別當,こうかもんいんのべっとう 89,たまのをよたえなばたえねながらへば,しのぶることのよわりもぞする,式子内親王,しょくしないしんのう 90,みせばやなをじまのあまのそでだにも,ぬれにぞぬれしいろはかはらず,殷富門院大輔,いんぶもんいんのたいふ 91,きりぎりすなくやしもよのさむしろに,ころもかたしきひとりかもねむ,後京極攝政前太政大臣,ごきょうごくせっしょうさきのだじょうだいじん 92,わがそではしほひにみえぬおきのいしの,ひとこそしらねかわくまもなし,二條院讃岐,にじょういんのさぬき 93,よのなかはつねにもがもななぎさこぐ,あまのをぶねのつなでかなしも,鎌倉右大臣,かまくらのうだいじん 94,みよしののやまのあきかぜさよふけて,ふるさとさむくころもうつなり,參議雅經,さんぎまさつね 95,おほけなくうきよのたみにおほふかな,わがたつそまにすみぞめのそで,前大僧正慈圓,さきのだいそうじょうじえん 96,はなさそふあらしのにはのゆきならで,ふりゆくものはわがみなりけり,入道前太政大臣,にゅうどうさきのだじょうだいじん 97,こぬひとをまつほのうらのゆふなぎに,やくやもしほのみもこがれつつ,權中納言定家,ごんちゅうなごんさだいえ 98,かぜそよぐならのをがはのゆふぐれは,みそぎぞなつのしるしなりける,従二位家隆,じゅうにいいえたか 99,ひともをしひともうらめしあぢきなく,よをおもふゆゑにものおもふみは,後鳥羽院,ごとばいん 100,ももしきやふるきのきばのしのぶにも,なほあまりあるむかしなりけり,順徳院,じゅんとくいん |
小倉百人一首 (漢字 新字体版)
1,あきのたのかりほのいほのとまをあらみ,わがころもではつゆにぬれつつ,天智天皇,てんじてんのう 2,はるすぎてなつきにけらししろたへの,ころもほすてふあまのかぐやま,持統天皇,じとうてんのう 3,あしびきのやまどりのをのしだりをの,ながながしよをひとりかもねむ,柿本人麻呂,かきのもとのひとまろ 4,たごのうらにうちいでてみればしろたへの,ふじのたかねにゆきはふりつつ,山部赤人,やまべのあかひと 5,おくやまにもみぢふみわけなくしかの,こゑきくときぞあきはかなしき,猿丸大夫,さるまるだゆう 6,かささぎのわたせるはしにおくしもの,しろきをみればよぞふけにける,中納言家持,ちゅうなごんやかもち 7,あまのはらふりさけみればかすがなる,みかさのやまにいでしつきかも,安倍仲麿,あべのなかまろ 8,わがいほはみやこのたつみしかぞすむ,よをうぢやまとひとはいふなり,喜撰法師,きせんほうし 9,はなのいろはうつりにけりないたづらに,わがみよにふるながめせしまに,小野小町,おののこまち 10,これやこのゆくもかへるもわかれては,しるもしらぬもあふさかのせき,蝉丸,せみまる 11,わたのはらやそしまかけてこぎいでぬと,ひとにはつげよあまのつりぶね,参議篁,さんぎたかむら 12,あまつかぜくものかよひぢふきとぢよ,をとめのすがたしばしとどめむ,僧正遍昭,そうじょうへんじょう 13,つくばねのみねよりおつるみなのがは,こひぞつもりてふちとなりぬる,陽成院,ようぜいいん 14,みちのくのしのぶもぢずりたれゆえに,みだれそめにしわれならなくに,河原左大臣,かわらのさだいじん 15,きみがためはるののにいでてわかなつむ,わがころもでにゆきはふりつつ,光孝天皇,こうこうてんのう 16,たちわかれいなばのやまのみねにおふる,まつとしきかばいまかへりこむ,中納言行平,ちゅうなごんゆきひら 17,ちはやぶるかみよもきかずたつたがは,からくれなゐにみづくくるとは,在原業平朝臣,ありわらのなりひらあそん 18,すみのえのきしによるなみよるさへや,ゆめのかよひぢひとめよくらむ,藤原敏行朝臣,ふじわらのとしゆきあそん 19,なにはがたみじかきあしのふしのまも,あはでこのよをすぐしてよとや,伊勢,いせ 20,わびぬればいまはたおなじなにはなる,みをつくしてもあはむとぞおもふ,元良親王,もとよししんのう 21,いまこむといひしばかりにながつきの,ありあけのつきをまちいでつるかな,素性法師,そせいほうし 22,ふくからにあきのくさきのしをるれば,むべやまかぜをあらしといふらむ,文屋康秀,ふんやのやすひで 23,つきみればちぢにものこそかなしけれ,わがみひとつのあきにはあらねど,大江千里,おおえのちさと 24,このたびはぬさもとりあへずたむけやま,もみぢのにしきかみのまにまに,菅家,かんけ 25,なにしおはばあふさかやまのさねかづら,ひとにしられでくるよしもがな,三条右大臣,さんじょうのうだいじん 26,をぐらやまみねのもみぢばこころあらば,いまひとたびのみゆきまたなむ,貞信公,ていしんこう 27,みかのはらわきてながるるいづみがは,いつみきとてかこひしかるらむ,中納言兼輔,ちゅうなごんかねすけ 28,やまざとはふゆぞさびしさまさりける,ひとめもくさもかれぬとおもへば,源宗干朝臣,みなもとのむねゆきあそん 29,こころあてにをらばやをらむはつしもの,おきまどはせるしらぎくのはな,凡河内躬恒,おおしこうちのみつね 30,ありあけのつれなくみえしわかれより,あかつきばかりうきものはなし,壬生忠岑,みぶのただみね 31,あさぼらけありあけのつきとみるまでに,よしののさとにふれるしらゆき,坂上是則,さかのうえのこれのり 32,やまがはにかぜのかけたるしがらみは,ながれもあへぬもみぢなりけり,春道列樹,はるみちのつらき 33,ひさかたのひかりのどけきはるのひに,しづごころなくはなのちるらむ,紀友則,きのとものり 34,たれをかもしるひとにせむたかさごの,まつもむかしのともならなくに,藤原興風,ふじわらのおきかぜ 35,ひとはいさこころもしらずふるさとは,はなぞむかしのかににほひける,紀貫之,きのつらゆき 36,なつのよはまだよひながらあけぬるを,くものいづこにつきやどるらむ,清原深養父,きよはらのふかやぶ 37,しらつゆにかぜのふきしくあきののは,つらぬきとめぬたまぞちりける,文屋朝康,ふんやのあさやす 38,わすらるるみをばおもはずちかひてし,ひとのいのちのをしくもあるかな,右近,うこん 39,あさぢふのをののしのはらしのぶれど,あまりてなどかひとのこひしき,参議等,さんぎひとし 40,しのぶれどいろにいでにけりわがこひは,ものやおもふとひとのとふまで,平兼盛,たいらのかねもり 41,こひすてふわがなはまだきたちにけり,ひとしれずこそおもひそめしか,壬生忠見,みぶのただみ 42,ちぎりきなかたみにそでをしぼりつつ,すゑのまつやまなみこさじとは,清原元輔,きよはらのもとすけ 43,あひみてののちのこころにくらぶれば,むかしはものをおもはざりけり,権中納言敦忠,ごんちゅうなごんあつただ 44,あふことのたえてしなくばなかなかに,ひとをもみをもうらみざらまし,中納言朝忠,ちゅうなごんあさただ 45,あはれともいふべきひとはおもほえで,みのいたづらになりぬべきかな,謙徳公,けんとくこう 46,ゆらのとをわたるふなびとかぢをたえ,ゆくへもしらぬこひのみちかな,曾禰好忠,そねのよしただ 47,やへむぐらしげれるやどのさびしきに,ひとこそみえねあきはきにけり,恵慶法師,えぎょうほうし 48,かぜをいたみいはうつなみのおのれのみ,くだけてものをおもふころかな,源重之,みなもとのしげゆき 49,みかきもりゑじのたくひのよるはもえ,ひるはきえつつものをこそおもへ,大中臣能宣朝臣,おおなかとみのよしのぶあそん 50,きみがためをしからざりしいのちさへ,ながくもがなとおもひけるかな,藤原義孝,ふじわらのよしたか 51,かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ,さしもしらじなもゆるおもひを,藤原実方朝臣,ふじわらのさねかたあそん 52,あけぬればくるるものとはしりながら,なほうらめしきあさぼらけかな,藤原道信朝臣,ふじはらのみちのぶあそん 53,なげきつつひとりぬるよのあくるまは,いかにひさしきものとかはしる,右大将道綱母,うだいしょうみちつなのはは 54,わすれじのゆくすゑまではかたければ,けふをかぎりのいのちともがな,儀同三司母,ぎどうさんしのはは 55,たきのおとはたへてひさしくなりぬれど,なこそながれてなほきこえけれ,大納言公任,だいなごんきんとう 56,あらざらむこのよのほかのおもひでに,いまひとたびのあふこともがな,和泉式部,いずみしきぶ 57,めぐりあひてみしやそれともわかぬまに,くもがくれにしよはのつきかな,紫式部,むらさきしきぶ 58,ありまやまゐなのささはらかぜふけば,いでそよひとをわすれやはする,大弐三位,だいにのさんみ 59,やすらはでねなましものをさよふけて,かたぶくまでのつきをみしかな,赤染衛門,あかぞめえもん 60,おほえやまいくののみちのとほければ,まだふみもみずあまのはしだて,小式部内侍,こしきぶのないし 61,いにしへのならのみやこのやへざくら,けふここのへににほひぬるかな,伊勢大輔,いせのたゆう 62,よをこめてとりのそらねははかるとも,よにあふさかのせきはゆるさじ,清少納言,せいしょうなごん 63,いまはただおもひたえなむとばかりを,ひとづてならでいふよしもがな,左京大夫道雅,さきょうのだいぶみちまさ 64,あさぼらけうぢのかはぎりたえだえに,あらはれわたるせぜのあじろぎ,権中納言定頼,ごんちゅうなごんさだより 65,うらみわびほさぬそでだにあるものを,こひにくちなむなこそをしけれ,相模,さがみ 66,もろともにあはれとおもへやまざくら,はなよりほかにしるひともなし,前大僧正行尊,さきのだいそうじょうぎょうそん 67,はるのよのゆめばかりなるたまくらに,かひなくたたむなこそをしけれ,周防内侍,すおうのないし 68,こころにもあらでうきよにながらへば,こひしかるべきよはのつきかな,三条院,さんじょういん 69,あらしふくみむろのやまのもみぢばは,たつたのかはのにしきなりけり,法師能因,のういんほうし 70,さびしさにやどをたちいでてながむれば,いづこもおなじあきのゆふぐれ,良暹法師,りょうぜんほうし 71,ゆふさればかどたのいなばおとづれて,あしのまろやにあきかぜぞふく,大納言経信,だいなごんつねのぶ 72,おとにきくたかしのはまのあだなみは,かけじやそでのぬれもこそすれ,祐子内親王家紀伊,ゆうしないしんのうけのきい 73,たかさごのをのへのさくらさきにけり,とやまのかすみたたずもあらなむ,前中納言匡房,さきのちゅうなごんまさふさ 74,うかりけるひとをはつせのやまおろしよ,はげしかれとはいのらぬものを,源俊頼朝臣,みなもとのとしよりあそん 75,ちぎりおきしさせもがつゆをいのちにて,あはれことしのあきもいぬめり,藤原基俊,ふじわらのもととし 76,わたのはらこぎいでてみればひさかたの,くもゐにまがふおきつしらなみ,法性寺入道前関白太政大臣,ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん 77,せをはやみいはにせかるるたきがはの,われてもすゑにあはむとぞおもふ,崇徳院,すとくいん 78,あはぢしまかよふちどりのなくこゑに,いくよねざめぬすまのせきもり,源兼昌,みなもとのかねまさ 79,あきかぜにたなびくくものたえまより,もれいづるつきのかげのさやけさ,左京大夫顕輔,さきょうのだいぶあきすけ 80,ながからむこころもしらずくろかみの,みだれてけさはものをこそおもへ,待賢門院堀河,たいけんもんいんのほりかわ 81,ほととぎすなきつるかたをながむれば,ただありあけのつきぞのこれる,後徳大寺左大臣,ごとくだいじのさだいじん 82,おもひわびさてもいのちはあるものを,うきにたへぬはなみだなりけり,道因法師,どういんほうし 83,よのなかよみちこそなけれおもひいる,やまのおくにもしかぞなくなる,皇太后宮大夫俊成,こうたいごうぐうのだいぶとしなり 84,ながらへばまたこのごろやしのばれむ,うしとみしよぞいまはこひしき,藤原清輔朝臣,ふじわらのきよすけあそん 85,よもすがらものおもふころはあけやらで,ねやのひまさへつれなかりけり,俊恵法師,しゅんえほうし 86,なげけとてつきやはものをおもはする,かこちがほなるわがなみだかな,西行法師,さいぎょうほうし 87,むらさめのつゆもまだひぬまきのはに,きりたちのぼるあきのゆふぐれ,寂蓮法師,じゃくれんほうし 88,なにはえのあしのかりねのひとよゆえ,みをつくしてやこひわたるべき,皇嘉門院別当,こうかもんいんのべっとう 89,たまのをよたえなばたえねながらへば,しのぶることのよわりもぞする,式子内親王,しょくしないしんのう 90,みせばやなをじまのあまのそでだにも,ぬれにぞぬれしいろはかはらず,殷富門院大輔,いんぶもんいんのたいふ 91,きりぎりすなくやしもよのさむしろに,ころもかたしきひとりかもねむ,後京極摂政前太政大臣,ごきょうごくせっしょうさきのだじょうだいじん 92,わがそではしほひにみえぬおきのいしの,ひとこそしらねかわくまもなし,二条院讃岐,にじょういんのさぬき 93,よのなかはつねにもがもななぎさこぐ,あまのをぶねのつなでかなしも,鎌倉右大臣,かまくらのうだいじん 94,みよしののやまのあきかぜさよふけて,ふるさとさむくころもうつなり,参議雅経,さんぎまさつね 95,おほけなくうきよのたみにおほふかな,わがたつそまにすみぞめのそで,前大僧正慈円,さきのだいそうじょうじえん 96,はなさそふあらしのにはのゆきならで,ふりゆくものはわがみなりけり,入道前太政大臣,にゅうどうさきのだじょうだいじん 97,こぬひとをまつほのうらのゆふなぎに,やくやもしほのみもこがれつつ,権中納言定家,ごんちゅうなごんさだいえ 98,かぜそよぐならのをがはのゆふぐれは,みそぎぞなつのしるしなりける,従二位家隆,じゅにいいえたか 99,ひともをしひともうらめしあぢきなく,よをおもふゆゑにものおもふみは,後鳥羽院,ごとばいん 100,ももしきやふるきのきばのしのぶにも,なほあまりあるむかしなりけり,順徳院,じゅんとくいん |
登録日: 2021年3月11日 /
更新日: 2021年3月11日