校長室より
校長あいさつ
川崎市立玉川小学校 校長 辰口 直美
本校は、今年度開校118周年となる地域に根差した歴史のある学校です。
「根」「智」「和」の3つを大きな目標に掲げ日々の教育活動を実践しています。
令和4年度の玉川小学校は、93名の新1年生を迎え550名でスタートしました。
本校の教育活動を支えてくださる保護者そして地域の皆様のこの学校に対する
思いを感じながら教職員と力を合わせてよい学校づくりに努めてまいります。
ご支援ご協力をよろしくお願いいたします。
校長室より(HP用)
3月
3月に入り、日差しが暖かく感じられます。
晴れた休日の夕方、父親が玄関先に椅子を出して座っていました。足腰が弱くなっているので、歩くことや外に出ることはおっくうになっていました。
しばらくすると、外で話し声が聞こえてきました。父親は通りすがりの人と3人で話をしていました。そのうち母親が外に呼ばれ、4人で話していました。
晩ごはんの時に父親が「会社で働いていたときの同僚が散歩をしていて久しぶりに会った。」と楽しそうに話をしました。会社の同僚だった方も足腰が弱くなり、杖をつきながらご夫婦で少しずつ散歩をするようになったとのことでした。父親と同僚だった方との家は少し離れています。
久しぶりに会えて、自分から進んで話をしていました。父親には「外に出るといいことがあるかもしれないね。」と声をかけました。これから暖かい日が増えるので、父親には外に出て桜が咲いているのを見たり、メジロの鳴き声を聞いたりするなど、春をたくさん感じてくれるといいと思っています。
やはり、様々な人と話すことによってやる気がでたり、頑張ることができたり、前向きになれたり、励みになること等を実感しました。
大人も子どもも人々との関わりの中で前向きになれるものを得ることができます。そして自分自身が相手に前向きな気持ちになれるような人物でありたいものです。
2月
明日は立春です。暦の上では春となります。吹く風はまだ冷たいのですが、この日から寒さもだんだん緩んでいき、気持ちも明るくなるのではないでしょうか。
さて、今日2月3日は節分です。節分の豆まきは「魔(ま)」に豆を投げて滅する「魔滅(まめ)」に通じ「鬼は外」「福は内」のかけ声で豆まきをする習わしが始まったという説もあるようです。
我が家では、各部屋の窓を開けて「鬼は外。福は内。」と唱えていますが、住宅事情もあり、豆まきの大きな声が街に響くようなこともあまりなくなってきたようです。
それぞれの地域や家庭によって行い方は違うと思いますが、最近は太巻きのお寿司をその年の恵方を向いて食べる恵方巻が多くなってきているように感じます。
日本には四季があり、季節の変わり目「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の節分は年4回あります。2月の節分だけ特別にしているのは旧暦の新年を迎える年越しの意味合いや、冬から春へ季節の移り変わりに伴う気持ちの変化も大事にしているからでしょうか。
年中行事として春を喜び、季節の変わり目に訪れると言われる邪気を追い払う儀式としての豆まきをする節分も大切にしたいと思います。
2月3日の節分に、自分の中にある鬼(課題や十分でなところなど)を考える機会をもち、「鬼は外」で鬼を追い出し、「福は内」でたくさんの福を呼ぶことができるようにしたいです。
1月
新年明けましておめでとうございます。令和5年、2023年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。
お正月はたいへんよい天気でした。初詣にでかけた時、桜の木がありました。何気なく枝を見てみるとつぼみができていて少し膨らんでいました。帰り道では梅の木にいくつかの赤い花が咲いているのを見つけました。
寒い日が続いていましたが、そのような中でも少しずつ春がやってきていることを実感しました。
子どもも大人も人間として成長するためには努力を継続することやこれからのことを考えて備える準備などが大切です。時には寒く厳しい時期もありますがそれを乗り越えて春を迎えるのだと思います。
今年は卯年です。卯年はうさぎの姿から「飛躍」「向上」の年とも言われています。新しい年を迎え、もうすぐやってくる春に向けて飛躍できるよう、自分に必要なものは何かを見極めながら、子どもたちにはあと3ヶ月のまとめの時期を過ごしてほしいと思います。
12月
令和4年の月ごとのカレンダーがあと1枚になり、今年もあと少しだと感じています。文具店にいくと様々なカレンダーがあるので、ふと立ち止まり「面白いカレンダーがある。」「来年のカレンダーはどれにしようか。」と眺める時があります。
また、夕方、日が短くなったと感じることも多く、日の入を調べてみたら16時半頃でした。日中はまだ暖かいのですが、日が暮れると急に寒くなります。今月22日は冬至で、一年で最も昼の時間が短くなる日ですが、冬至を過ぎればだんだん昼が長くなるので、「始まり」を思わせるうれしい気持ちがします。
さて、12月は「師走」と言いますが、この月になると家々で師(僧)を迎えて読経などの仏事を行うため、師(僧)が東西に忙しく走り回るため「師馳せる月」から師走と呼ばれる説もあります。
学校でも後期から行事や校外学習、外部の方との学習等が多かったので、12月でも引き続き何かと慌ただしい日々が続くこともあります。子どもたちには、様々な教育活動を経て得られた成果の陰で忘れがちな苦労や反省点なども大切にしてこれからの糧にしてほしいと思います。
また、年度の区切りは4月ですが、1年の終わりとして子どもたちは教室や身の回りの整理整頓などやるべきことがあります。気持ちよく新年を迎えることができればよいと思います。
本年も本校の教育活動に対するご理解ご協力に感謝申し上げます。少し早いのですが、皆様よいお年をお迎えください。
11月
10月29日(土)午前中は授業参観、午後は「玉川ふれあい祭」でした。「玉川ふれあい祭」はコロナ禍で2年間実施されていなかったのですが、3年ぶりに開催されました。自由参加でしたが、全校で9割くらいの参加がありました。
開催までは、日程や内容をどのようにするか、どうすれば感染防止を考慮しながら開催できるか等々、6月くらいから玉川委員の方々が中心となり、学校と相談しながら計画を進めてきました。
さらに保護者や学校だけでなく、地域の協力もありました。玉川委員の方々が地域の施設から遊び道具の貸し出しをお願いしてくださったので、子どもたちはいろいろなゲームができました。玉川委員の方々が教室、体育館、校庭でのゲーム内容を工夫してくださり、また、多くの保護者の方々の準備、運営、片付けの協力をいただきました。
子どもたちはこのような祭は本当に久しぶりのことだったことでしょう。玉川ふれあい祭終了後は「楽しかった!」と笑顔でウキウキしながら帰っていきました。
コロナ禍が続き、学校も社会の大きな変化の中にいます。これまで行っていたことが同じようにできなくなり、試行錯誤や工夫をしながら教育活動を行っているところです。まだ気を抜けない日々は続きますが、子どもたちの姿を見て、子どもたちに今何が大切なのか子どもたちにどのようなことが必要なのかを考え、学校、保護者、地域が共通理解しながら取り組んでいくことが大切だと思います。
これから連合音楽会、修学旅行、校外学習や学習発表会など様々な教育活動もありますが、それらの一つ一つが子どもにとって実りある経験となるよう取り組んでいきます。
10月
自分のよさを発揮するためには、自分を大切にすることや、自分に自信をもつというような自己肯定感や自己有用感が大切です。
しかし、この値を国際比較調査等で諸外国と比べると日本の若者は低いというデータもあります。
意識的に自己肯定感や自己有用感を高めていくことが大切です。
では、本校の子どもたちはどうでしょうか。
令和4年度全国学力・学習状況調査における「自分にはよいところがありますか」の設問に対して、肯定的な回答は本校では82.7%、全国は79.3%でした。
本校の子どもたちは自分のよさを自覚している割合が高いです。
これは、日頃「友達のよい所を見つけて伝えあっている」「友達の意見を認めている」学習を行っている成果と考えます。
また、たてわり班活動では高学年が低学年のお世話をする等、様々な場面で自己肯定感や自己有用感を高め、それが結果として表れていると考えています。
学校としても、この結果に安心することなく、さらによりよい教育活動に向けて引き続き授業改善してまいります。
ぜひ、ご家庭でも子どもの活動について、よさを見つけて、認めて、褒めるなど、価値づけてください。
共に力を合わせて子どもたちを育てていきましょう。
9月
ある日、街中を歩いていたら、鳥の鳴き声が聞こえてきました。しばらく鳴いているので何処から聞こえてくるのだろうと辺りを見回しました。
カラスが見ている方向を見ると、小さな鳥が電線に止まっていました。しきりに鳴いています。
カラスが電線からバサッと飛び立とうとすると、小さな鳥がカラスに向かって勢いよく向かって行きます。
するとカラスは飛び立つのを止めて電線に戻ります。
小さな鳥の巣が近くにあるのだなと思いました。巣が何処にあるのかはわかりませんでしたが、建物の隙間のようなところにあったのかもしれません。
歩きながら様子を見ていたらカラスに何回か向かって飛んでいました。
小さな体で大きなカラスに向かっていたので、逆に攻撃されないかと冷や冷やしていました。
小さな鳥はきっと巣の中の卵やヒナを危険から必死で守っていたのでしょう。
これからどうなってしまうのかと気になっていましたが、用事があったので良い結果になることを祈りながらその場を離れました。
大きなカラスに向かっていく様子が健気であり、深い愛情が感じられました。
慌ただしく何かに追われることの多い生活において、普段何気なく過ごしていると見過ごしてしまうものが多いかもしれません。
私たちも時には立ち止まって、日常生活の中で生きていることを実感したり、生きていることの楽しさや素晴らしさを感じたりする心を大切にしていきたいものです。
7月
梅雨が明け、暑い日が続いています。この時期は19時くらいまで明るいので、暑さがひく夕方は心地よさを感じます。
休日、川沿いを散歩していると夕日に染まった空や雲がオレンジ色や朱淡紫色へと変わっていく様子がきれいでした。
飛行機が夕日を受けて輝きながら飛んでいく様子など、機体が小さくなるまでいつまでも見ていられました。
川風を受けながら美しい景色の移り変わりとゆったりとした時の流れを、満ち足りた気分で味わうことができました。
普段パソコンに向かったり、会議をしたり、考え事をしたりするとあっという間に時間が過ぎてしまいます。
また、常に何かしていなければいけないような思いに駆られ、ついあれこれ仕事を見つけてしまいます。
慌ただしく何かに追われることの多い今日の生活において時の流れを楽しむこと、
豊かに時間を過ごすことの大切さを感じました。
自然が織りなす美しい風景や美しいものなどに触れて心が揺さぶられた時、
素直な感動を大切にするとともに、大人も子どもも感動を共有できるように働きかけることで
子どもがもっている感性をさらに豊かに育んでいくことができると考えます。
もうすぐ夏休みになります。子どもたちには小学生の今しかできない時間の過ごし方で、
ゆったりじっくりと心身の糧を蓄えてほしいと思います。
6月
先日、アゲハチョウが飛んできて、薄黄色の卵を産んでひらひら飛んでいく姿を見ました。
いろいろな植物があるのに、なぜ柑橘系の植物を見分けて卵を産み付けることができるのかと思いました。
調べたところ、アゲハチョウは脚先で味見をしていることがわかりました。
それも不思議だなと思いながら、産み付けてある卵をこれから見ていこうと思いました。
数日経つと卵からふ化して黒っぽい幼虫になり、脱皮を数回繰り返しました。
また数日経つと緑色の目玉模様のある大きな幼虫になりました。大きくなった幼虫は葉をバリバリ食べていました。
葉がだんだんなくなってきた頃、さなぎになりました。いつ成虫になるのかと何日か待っていたら、ある早朝アゲハチョウになっていました。
羽は完全に開いていません。さなぎから出てくる瞬間は見られませんでしたが、卵から成虫まで見届けることができました。
しばらくすると、昼頃ひらひらと飛んでいきました。
成虫のアゲハチョウは2週間くらいの
寿命ですが、その間どこを飛んでいるのかふと考えました。学校では「チョウを育てよう」の学習をしています。
教科としてのねらいがありますが、そこには生命の不思議さや尊さに気づき、身近な動植物への接し方を考え、命あるものをいたわり大切にする気持ちをもって関わる道徳的内容が含まれています。
自然や動植物のもつ不思議さ、生命の力、そして共に生きていることを体験をもとに考えられるようにすることが必要であると考えます。
学校の学習だけではなく、家庭や地域で身近にあるものや自然に触れて、自然の変化などを感じ取り、素直な感動や好奇心や探究心をもってほしいと思います。
5月
この1ヶ月半の間に子どもたちの素敵なところを見つけることができました。
その一つが「掃除」です。玄関や階段など小さな砂ぼこりまで丁寧に掃いて取り、
その後拭いています。自分の分担場所の仕事をしっかりと行っています。
「学校をきれいにして気持ちよく生活する」という思いが伝わってきます。
しかし、もう少し頑張ってほしいところも見えてきました。
それは「挨拶」です。挨拶は「お互いに心を開き、相手の心に近づく」という
意味をもっています。会話によって人と人とのつながりを紡いでいくことです。
正門前や校舎内で挨拶をすることがあります。
挨拶を返してくれますが、私の姿を見つけて先に挨拶をする子もいます。
ちょこんと首だけ会釈する子、何も言わず通り過ぎる子など様々です。
「おはようございます」「こんにちは」「さようなら」など挨拶をすると笑顔に
なります。挨拶は「気持ちがすっきりする」「喜ばれる」「緊張をほぐせる」
「話すきっかけになって仲良くなれる」「次につながる言葉を考えられるようになる」
など、コミュニケーションのツールだけではなく心の成長や学力面にも大きな力を
もっていると考えています。
私たち大人もお手本を示していきたいです。ぜひ、子どもが自然に挨拶できたときは
ほめてあげてください。